5日間走り込んで分かったFFレーシングマシン「ルノー・クリオ」の長所と短所
FFのレーシングマシン「ルノー・クリオ」
Project Cars と Project Cars 2 にはフランスの自動車会社ルノー(Renault)が生産する小型ハッチバック車「クリオ(Clio)」がベースになっているレーシングマシンが登場します。
このレーシングマシンは、スポーツカーによくみられるMRやFRといった駆動方式ではなく、軽自動車からミニバンまで多くの市販車で広く普及している「FF」という駆動方式を採用しているので「MR車やFR車と比べれば扱いやすいだろう」と考えてしまいそうですが・・・実際のところはどうなのでしょう?
少し走り込んでこのマシンの特徴を探り出してみたいと思います。
豪快なスライドを披露するルノー・クリオのレーシングマシン
FFレーシングマシン「ルノー・クリオ」の長所と短所
<長所>
① 加速中の安定性が抜群
このマシンは前輪が駆動している「FF車」なので、加速中にリヤタイヤが左右に振られてバランスが崩れる心配がありません。雨の日や悪路でも加速中は思いっきりアクセルを踏むことができます。
しかも、フロント側にエンジンやトランスミッションなどがあってどっしりと重いため、路面の凸凹でマシンが暴れることがありません。安定性は抜群だといえます。
FF車は雨でもアクセルをベタ踏みできる
<短所>
① オーバーステアでスピンする
「FF車ってスピンするの?」と思うかもしれませんが、レーシングマシンはタイヤ(スリックタイヤ)のグリップが高いせいか、コーナーの進入時に減速しながらハンドルを切ってしまうと、強いオーバーステアが発生してスピンすることがあります。
走り込みの当初はこのスピンの原因が分からず、PITでセッティングをあれこれ変えたりしましたが、現在は「走り方」でほぼ回避することができるようになり、マシンのセッティングは初期状態のままです。
ちなみに、スピンを回避する「走り方」というのは「ハンドル操作を極微量にする」のと「減速が終わったらすぐにアクセルを開ける」の2つです。この2つを実践すればセッティングが初期状態のマシンでも、大抵のスピンを回避することができると思います。
② フロントタイヤの消耗が激しい
全開で走るFFのレーシングマシンということで、やはりフロントタイヤの減り方がもの凄く早いですね。正確には調べていませんが、リヤタイヤの2倍くらいは早く消耗していると思います。
周回数の多いレースでは、フロントタイヤの消耗を抑えた走り方をする必要があるかもしれませんね。
フロントタイヤの消耗が激しい
③ リヤタイヤが温まらない・冷える
FF車は「駆動」と「舵取り」の大きな仕事をフロントタイヤが行っているので、後ろから付いてくるだけのリヤタイヤがなかなか温まらない、また、一旦タイヤウォーマーで温めても、走っているうちに冷えてしまうという特徴があります。
タイヤは適度に熱を持つことで本来のグリップ性能を発揮しますので、冷えたままではグリップも低いままでタイムを上げることができません。
セッティングで熱を持つようにするか、リヤタイヤに負荷をかけるような走り方をするなどして改善しなければなりませんね。
リヤタイヤは熱を持ちにくい(青いまま)
④ トラクションコントロールは不要
このマシンはエンジンがそれほど強力ではなく前輪を駆動するFF車だということ、また、スピンを回避するためにアクセルを開ける必要があるので、TSC(トラクションコントロール)は不要です。
まとめ
今回は Project Cars に登場する唯一のFFレーシングマシン「ルノー・クリオ」のテスト走行を実施してみましたが、やはりレース用にチューンアップされたマシンだけあって難易度が高く、ハイペースで走らせるにはMR車やFR車と同じくらいにシビアなコントロールが必要だということが分かりました。
FF車だからといって甘く考えてドライブしてはいけない・・・ということですね。
END